平成23年度 《特別講演会》 の内容

−『資源・エネルギー』『環境』『産業・経済』の融合−

我々は、地球規模での「環境保護」「資源・エネルギーの有効利用」「産業・経済の発展」という複雑に絡み合う3つの要因のバランスを保ちつつ、いかに未来を切り拓いて行くか、の難問を抱えています。
 本会では、この難問に対し、各々の要因における最新技術動向や法律問題、産業界や国の取組み等々を取り上げ、これまでに「地球環境問題へのスーパーコンピュータの応用」「地球シミュレータ計画」「燃料電池」「微量化学物質を検出する携帯型バイオセンサー装置の開発」「環境税導入の日本経済・エネルギーに及ぼす影響」「光触媒技術の最新動向と応用分野」「省エネ評価手法の開発」etc…の講演会・シンポジウムなどを開催し、藤嶋昭先生((財)神奈川科学技術アカデミー理事長)、伊藤利朗先生(三菱電機叶齧ア取締役)、増島勝先生(TDK椛纒\取締役専務)や産業技術総合研究所、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NED)、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、理化学研究所、宇宙開発機構、日本原子力研究所など産・官・学から多くの諸先生方に御協力を頂戴してきました。
 本年は、次の通り開催します。

T.環  境
 テーマ:電波吸収体 ―最新動向と今後の展開―
 講 師:橋 本  修 先生
      青山学院大学 理工学部 電気電子工学科 教授、

 【講演概要】
各種通信システムの普及により電波環境が悪化し、その改善が求められる中で、電波吸収体の必要性はますます高まっている。
このような背景のもと、さまざまな電波吸収体の研究・開発が活発に行なわれており、野外・室内において積極的に利用されている。
電波吸収体は、室内無線LANにおける室内用電波吸収体、回路基盤レベルのノイズ対策用としての近傍吸収シート、ETCやDSRCにおける野外用電波吸収体などがあり、使用目的に応じた要求性能は電気的なものとして伝導ノイズ、放射ノイズの抑制量、広帯域特性、広角度特性などであり、付加的な価値として薄型、軽量、強度、耐環境性および施工特性などがある。このような背景において、さまざまな付加特性を有する電波吸収体の研究に関する最新動向について解説する。

U.資源・エネルギー
 テーマ:2020年本格始動に向けて進む日本版スマートグリッドの論点
 講 師:山 地  憲 治  先生
      (独)地球環境産業技術研究機構 理事・研究所長,前東京大学教授

 【講演概要】
2009年に太陽光発電の新たな買取制度導入を受け、太陽光発電の導入量を2020年度まで
に2005年比20倍に、2030年までに40倍に増やす目標が示され、対策が急がれている。
最新のITを駆使し、自ら電力供給を最適化する送配電システムを意味するスマートグリ
ッドは、需要側で電力消費の形を変えることで、太陽光発電や風力発電などの大きな出力
の変動を、電力系統と協調して吸収し、需要と供給のバランスを保つという面で大きな役
割を果たす。そのためには、需要の多い時には特定の機器の利用を制限するがその代わり
に電気料金を安くする、電気が足りない場合は高く余っている時は料金を安くする、など
のメニューを電力会社が用意したり、変電所や家庭、オフィスなどの需要端に電力の需要
を調整するための蓄電池の導入が必要になってくる。
今後数年内に再生可能エネルギー発電の出力変動にどんなシステムで対応するのかを決め
て、その導入普及を行い、2020年に備えて行かなければならない。そのための、技術開発
などについて詳述する。

V.産業・経済
 テーマ:2010年ノーベル化学賞受賞
      クロスカップリング反応−誕生から現在まで,そして展望
 講 師:檜 山  為次郎 博 先生
      京都大学名誉教授,中央大学研究開発機構 教授、

 【講演概要】
クロス(交差)カップリング反応の大きな特徴は、旧来の有機反応では実現できなかった炭素での置換を可能にした点であり、その結果、現在普及している医農薬や液晶、発光材料、有機半導体などπ電子共役化合物の合成を容易にしたことは画期的であった。
この反応は、1972年京都大学の熊田誠・玉尾皓平のグループがグリニャール反応剤とニッケル触媒を用いたのが最初で、現在でも置換スチレンが製造されている。
この反応の使い易さを求めたいくつかの改良法が模索され、今回のクロスカップリング反応に結びついて行く。
今後も、改良が続けられ、やがてどんなタイプの炭素−炭素結合形成にも使える触媒反応に成長すると確信するが、課題や今後の研究などについて詳述する。


平成23年度《 特 別 講 演 会 》要 綱
 ☆ 開催日時 : 平成23年4月10日(日)  A.M10:00〜P.M5:00

 ☆ テ ― マ : T.電波吸収体−最新動向と今後の展開    (A.M10:00〜P.M12:00)
          U.2020年本格始動に向けて進む日本版スマートグリッドの論点   (P.M12:45〜2:45)
         V.クロスカップリング反応−誕生から現在まで,そして展望       (P.M3:00〜5:00)

 ☆ 会  場 : (財)東京都中小企業振興公社 ←ここをクリックすると地図が見られます。
          (3階第1会議室)
          東京都千代田区神田佐久間町1−9 03-3257-0741

 ☆ 定  員 : 80名(スクーリング希望の場合)  定員になりしだい締め切ります。
          なお、通信で受講の方は4月末日までにDVD(orVTR)資料等を送付します。

 ☆ 申込期限 : 平成 23年4月5日

 ☆ 受 講 料 : 会員=無料