平成13年度シンポジウム内容

 「情報」あるいは「情報技術」という言葉は日常何気なく当たり前に使い、耳にしますが具体的に産業、社会にとって「情報とは何か」と考えるとよく分からないところがあります。
 例えば、経済的には情報産業の経済的な規模や他の産業に与える影響。現実の社会の中での情報の交流。これは東京の一極集中の問題などで、東京は情報発信基地として圧倒的なウェイトを占めていますが、逆に地方は受けるだけでいいのか、改善するためにはどういう手段を考えるべきか。また情報社会といっても、まだまだ制度的に整備しなければならないことが沢山あります。
 また光ファイバーで大量の情報がユーザー側、特に家庭に送る場合、光ファイバーを使う必要があるのか、家庭生活はどうなって行くのか、あるいは在宅勤務などを含む新しいライフスタイルが出来つつありますが、こういう問題は単に経済的な面だけでなく社会全体の大きな変化を意味していると思います。近未来の社会に向けて、いろいろな分野の方と議論を重ね、研究して行くことが大切です。
 本年のシンポジウムは「情報」について考えたく、下記の通り、開催しました。

開催日時 : 2001年8月25日(土) 午後1時30分〜5時
会  場  : お茶の水スクエアA館 ルーム6

     
東京都千代田区神田駿河台1−6  ( 03−3294−3131)
        地図 クリックすれば地図をみることができます。
テ ー マ :21世紀の産業、社会にとって「情報」とは何か?
      近未来の情報の在り方を考える

T部 : 基調講演
 
講 師 : 廣 松  毅 先生
        東京大学 教養学部 教授,前東京大学先端科学技術研究センター教授
U部 : パネルディスカッション
  司   会 : 廣 松  毅 先生
  パネリスト : 須 藤  修 先生
          東京大学 社会情報研究所 教授
  パネリスト : 長 谷 川  文 雄 先生
          東北芸術工科大学 教授

V部 : 質疑応答 −聴講者からの質問にパネリストが回答します−
基調講演
 どう基調講演をするかを考え、基本的なスタンスとして、逆説的ではありますが、基本的に人間社会の近未来を考えると言っても、我々が知っている知識あるいは使えるものは過去の事しか材料はない。未来の社会の予測とかシミュレーションとか、新しい技術に基づいてていさつ評価が行われるが基本になっているのは過去に関する知識、それに今の変化の状況、ベクトルの方向を加えて、今後どうなるであろうか発想せざるを得ない。少し、過去のことを話して後半のディスカッションで近未来のことに関して話して戴ければ、という話をさせて戴きたい。「明日の姿、生き方を求めて、いくら前方に目を凝らしても、未来は見えない。過去を振り返り、同じ先の見えなかった前近代の生き方、生きる知恵に学ぶとき、はじめて未来が見えてくる」木村尚三郎先生の「ふりかえれば、未来」を引用。情報、特にその意識的な活利用に焦点をあて、暗黙知の重要性は理解するにしても、本当に形式知を充分活用しているのか?。
 現在の経済制度は「物」「物財」を中心とした制度で「一物一価」の考え方。しかし、情報の場合には、相対取引、一対一の取引。情報を必要としている人が、自分に本当に必要な情報を持っている人と一対一で取引する。従って、「一物一価」を中心とした考え方は、情報の世界において重要な要素が入ってきた場合に改革せざるを得ないと思う。
 これ以降、「情報について」「情報化とは」「情報産業の誕生と発展」「ITから未来に向けて」を詳述。
 そして、これからは経済財としての情報を取り引きする。この取り引きを行う場合には、ある程度の法的整備が必要と考える。例えば、私の時計を誰かが黙って持って行けば窃盗で刑罰が科せられる。しかし、情報に関しては必ずしもこのところが明確ではない。誰かが情報をコピーしても元は残っている。現行の法律では対応できない。今、正にこのような現象が頻繁に起きている。これに対して、法的にも、取引慣行としてもどう対応するのかが社会的問題。
 最後に、個人情報保護、プライバシー保護に関して日本は大変遅れている。国会での進捗状況と早急な法整備を説く。
 情報とは何か、どういうふうに捉えるべきか、今抱えている問題・状況は何なのか、そして未来は?を講演された。

パネルディスカッション
廣松先生:お二人の先生に自己紹介を兼ね、どういう分野に興味を持っているかを含めて話して戴いて、その中から議論を展開して行きたい。

須藤先生:廣松先生が最後に個人情報保護法を取り上げられたが、これには私が関わっていた問題として、その経緯、内容、運用に関する考え方、世界での事例を紹介。
研究は、情報をどう扱って経済活動を行うか、この分析。
それから、現在携わっているのは、電子政府の構想。4年間、3300の自治体を全て電子署名を具備し、暗号通信できる環境づくり。これのバックボーンとして電子申請ができる環境を2003年までに作ろうと動いている。

長谷川先生:元々は、情報通信系の工学。ネットワークの進歩に伴い、土地とか、建物とか、空間とか、都市とか、そういった空間を情報という非常に密接になってくると考え、都市工学が学位。つまり、情報通信系をバックグラウンドに地域や都市が援用して行くことに興味をもった。例えば、さくら・ソニー銀行の例。それから、大容量デジタルアーカイブの研究。
これは通信放送研究機構という政府機関。21世紀は映像の時代。一方ではコンピュータの急速な進歩がある。しかし、いくら高性能のパソコンがあってもコンテンツができていないと宝の持ち腐れ。少なくとも技術面で大容量の映像をきちんと蓄積しておいて必要な時に、いつでも検索して送信できるようなシステムを開発する必要があるのではないか、というプロジェクトをメーキングして多面的に研究。

廣松先生:須藤先生は、電子マネーに関して研究の蓄積をもっており、長谷川先生のお話のようにネットラ銀行が動き始めているが、その辺に関して先生のお考え、現状をどう見ているのか?

須藤先生:約11分にわたり詳細に説明。

廣松先生:一般的にECとかBtoBとかBtoCとか色々言われているが、一方で.com企業という特に米国ではどんどん進出している。長谷川先生は言葉遊びが上手で、いささか不謹慎かも知れないが、ECと掛けて何と説くか。終電と説く。その心はドットコム。但し、終電が行ってしまうと誰もいなくなる。ということを聞きました。EC全般という大きな所でなく、現在考えていることをお聞かせ願いたい。

長谷川先生:約8分にわたり詳細説明。

廣松先生:今の話の中で、確かにビジネスの在り方が変わりつつある。それを把握するかが難しい所。約6分考えを。

廣松先生:IT関連産業が新規雇用を生むと言われているが、製造業でレイオフ、解雇された人がIT産業に行けば問題ないと言われるが、製造業で持っている技術とIT関連で要求する技術が合わないとも言われている。そういう意味で、労働とか人間とか、そちらの側面でIT関係の持つインパクトに関して話して欲しい。

須藤先生:約8分にわたり説明。
須藤先生:約9分にわたり説明。

廣松先生:この辺で、受講者からの意見、聞きたいことがあれば。

受講者:極最近、日経(?)が調査した結果、今後10年で最も重要な産業分野は情報産業、バイオ。じゃあその10年から先で重要な産業は?では10位。解説によると情報産業が重要でないという事ではなく、何かの背景として情報産業が使われるけれど、その部分だけが表に出て来るのが今後10年位ではないか?。その当たりのお考えは。

廣松先生:自分もその調査に関係した。約2分説明。
須藤先生:約4分の説明。
長谷川先生:約5分の説明
廣松先生:約5分の説明。

受講者:ソフトウェアにおいての教育を考えると言語教育ではないか。情報化ということを考えると10年経った時に時代遅れの人を作っているような気がするが。

長谷川先生:約3分説明。
須藤先生:約3分説明
廣松先生:約7分説明。
受講者:SEをしているが忙しくて、明いてはプログラム。その先の夢が技術者にはない。そういう意味でのアーツは何か、を思考錯誤、そして若い人への夢は。

須藤先生:約3分説明。人のマネをやってても評価されない。

受講者:ITを利用して人間が社会とどう関わって行くか。ビジネスを離れて、将来どうなって行くと思われるか。

長谷川先生:約5分説明。
須藤先生:約3分説明。
廣松先生:約3分説明。

受講者:不況と言うことで経済専門の先生方に現時点での経済・株価予測をお願いしたい。

廣松先生:約3分説明。
須藤先生:約5分説明。

廣松先生:一言だけ申し上げます。確実な事は、ここ3,4年の内に日本の総人口はピークを迎える。それ以降は減少する。ある意味で明治以降、高度成長に伴って人口は増え続けて来た。それが、一つ大きな転機を迎える事になると思います。実際に、経済に具体的な形で影響が出て来るのはもう少し先でないと分からないが、これだけは確実になると思う。もし、考えられる影響は、例えば、外国人労働者を入れる場合、日本社会としてどう判断するとか、かなり社会的に関わる大きな問題が出てくると思います。その時に、個人的な意見として、余り悲観的に考えると現実になってしまうという事もあると思うので、少なくとも現状の日本経済・社会に関して、そんなに悲観する必要はないのではないかと考えている。